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執筆者の写真ふかや経営サポート

中小PMIガイドライン(⓪&①)

更新日:10月21日

PMIについて調べていたら、こんな動画に出会いました。

なぜ、今まで見ていなかったんだろう……。


今回は、この講座について、中身を見ていきたいと思います。






 

〈目次〉

 
中小PMIガイドライン(0️⃣&1️⃣)

※画像はイメージです。




中小PMIガイドラインとは

 
  • 策定の背景:

中小PMIガイドラインは、2022年3月に中小企業庁によって策定されました。

M&Aが進む中で、中小企業が直面する特有の課題に対応するための指針として位置づけられています。


  • 目的:

ガイドラインの主な目的は、中小企業がM&A後に統合を成功させるための具体的な取り組みを示し、経営統合を早期に実現することです。

これにより、企業の成長を促進し、持続可能な競争力を確保することを目指しています。




動画⓪:中小PMIガイドライン講座の紹介(全体構成)について

 
動画⓪:中小PMIガイドライン講座の紹介(全体構成)について


  • 動画の概要:

これら一連の動画は、中小企業におけるM&A後の統合作業について解説したものです。

具体的には、中小企業庁がまとめた「中小PMIガイドライン」の内容をもとに、統合作業の概要や具体的な手順について説明しています。


動画は大きく分けて、総論各論に分かれており、各論は、規模の大小に関わらず必要な取り組みをまとめた「基礎編」と、相乗効果を得るための取り組みをまとめた「発展編」に分かれています。


また、「譲り受け側の経営者向け」と「実務担当者向け」という切り口でも、M&A後の統合作業を適切に効果的に進めていくために活用することができます。





動画①:中小PMIガイドライン講座 総論(概要編)

 

※ここからは、『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』についても参考にしながら、動画を解説していきます。


PMIとはなにか:

[出典]『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』(中小企業庁)



  • PMIとは:

PMIは「Post Merger Integration」(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略称です。

これは、主に企業の合併・買収(M&A)が成立した後に行われる重要なプロセスを指します。


  • PMIの目的と重要性:

1. M&Aの目的実現

PMIは、M&Aで掲げた目標を具体化し、達成するための重要な段階です。


2. 統合効果の最大化

両社の強みを活かし、相乗効果を生み出すことで、統合による利益を最大限に引き出します


3. M&Aの真の成功

M&Aの成功は、単に取引が成立することではありません。

本当の成功は、当初期待された効果を実際に実現できるかどうかにかかっています


このように、PMIはM&Aの価値を現実のものとする上で、極めて重要な役割を果たしています。


※大企業のM&Aでは、PMIの取り組みが最重要とも言われており、中小企業においても、PMIはM&Aを成功させるための重要な要素となっています。 

『中小PMIガイドライン』によると、中小企業がM&Aを実施する際に心配する事項として
・「相手先従業員等の理解が得られるか不安がある」
・「期待する効果が得られるかよく分からない」
などが挙げられています。

これらの不安を解消し、M&Aの目的を達成するためには、PMIを通じて円滑な統合を進めることが重要となります。



PMIのステップ

 
PMIのステップ

[出典]『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』(中小企業庁)



  • PMIの3つの段階:

PMIは長期的な取り組みであり、以下の3つの段階に分けられます。


1. プレPMI(M&A成立前)

- M&Aの目的を明確化

- 譲受側の現状把握


2. PMI集中実施期(M&A成立後約1年間)

- 集中的な統合作業の実施


3. ポストPMI(その後の継続的な取り組み)

- 中長期的視点での統合効果最大化


※PMI集中実施期の重要ポイント
PMI集中実施期は、M&A成立後約1年間にわたる重要な期間です。
この期間中、M&Aの目的達成に向けて優先順位を付けた取り組みを行います。
効果を最大化するため、以下の点に注意しましょう。

1. 信頼関係構築のためのコミュニケーション
- 従業員の不安解消: M&Aの目的、将来ビジョン、雇用方針を丁寧に説明
- キーパーソンへの配慮: 影響力のある人物との密な情報交換
- 即効性のある改善: 早期に成果が見える取り組みでモチベーション向上

2. 柔軟な計画実行
- 詳細な現状把握: M&A成立後、より深い情報収集を実施
- 優先順位に基づく対応: 重要度、緊急性、実行可能性を考慮
- 計画の見直し: 状況変化に応じて柔軟に修正

3. 成果測定とPDCAサイクル
- 目標とKPI設定: 進捗を客観的に把握できる指標を設定
- 定期的な進捗確認: 目標達成に向けた取り組みを検証
- 柔軟な対応: 効果検証結果に基づき、必要に応じて計画を修正

4. 専門家の活用
- 支援機関の利用: 中小企業診断士、弁護士、税理士などの専門家に相談
- 適切な役割分担: 自社の経営資源を有効活用しつつ、効率的なPMIを推進

PMI集中実施期は、M&Aの成功を左右する重要な時期です。
丁寧なコミュニケーション、柔軟な計画実行、効果測定と改善、そして専門家の活用を意識しながら、着実に統合を進めることが成功への鍵となります。


  • PMIの重要ポイント:

1. M&Aの目的と成功の定義

- 目指す姿を明確にする

- M&Aの成功基準を設定


2. 事前準備の徹底

- デューデリジェンス等で情報収集

- 集中実施期の計画立案


3. PMI推進体制の構築

- 必要な役割の整理

- 譲受側・譲渡側の適切な人材配置


4. PMIの実行:

- 譲渡側の詳細な現状把握

- 新たな課題への対応方針検討

- 計画的な実行と効果検証


5. ポストPMIの方針策定と実行

- 集中実施期の結果を踏まえた目標設定

- PMI取り組み方針の見直し

- 継続的なPDCAサイクルの実施


このように、PMIは M&A検討段階から始まり、成立後の集中期を経て、長期的に継続する重要なプロセスといえます。




次回

 

次回は、【動画②:中小PMIガイドライン講座 総論(詳細編)】について、解説していきます。お楽しみに!




※関連書籍

 
『日本型PMIの方法論――中堅・中小企業を成長させるポストM&Aのプロセス』(竹林 信幸/プレジデント社)


本書は、中堅・中小企業向けのPMIに焦点を当てた実践的な指南書。


著者の豊富な経験に基づき、日本の企業文化に適したPMIの方法論を展開している。


特筆すべきは、PMIを単なる統合作業ではなく、買収後の成長プロセスとして捉える視点。


人的要素の重要性を強調し、企業文化の違いを問題視せず、むしろ活かす方法を提案している。


M&Aを検討する中堅・中小企業の経営者や実務担当者にとって、貴重な指針となる一冊といえるだろう。



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