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執筆者の写真ふかや経営サポート

中小PMIガイドライン⑤:基礎編(詳細編)

更新日:10月30日



M&Aに関わる実務担当者の方々を対象に、M&Aが成立してから約100日から1年の間に、どんな取り組みが大切で、どんなことに気をつければいいのかについて、解説していきます。


この期間は、買う側と売る側の会社が力を合わせて、M&Aの目標を達成するための土台作りです。


中小PMIガイドライン⑤:基礎編(詳細編)

※画像はイメージです。


 

〈目次〉

  ゴール

  失敗例

  対象

  ゴール

    譲渡側経営者

    譲渡側従業員

    取引先

  失敗例

  ゴール

 

※実際の動画の内容



[出典]動画⑤:中小PMIガイドライン講座 基礎編(詳細編)(metichannel/経済産業省)


※以下、『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』も参考にしながら、動画を解説していきます。






概要

 
概要

本動画は、M&A成立後100日から約1年間のPMI基礎編について、実務担当者向けに詳細な解説です。

この時期は、買収側と譲渡側が一体となりM&Aの目的実現のための基礎固めを行う重要な期間です。


主要テーマ

本動画では、PMI基礎編における3つの主要テーマについて解説しています。

  1. 経営統合: M&A後の企業/事業の経営方針を明確化し、社内外の関係者に安心感を与え、信頼関係構築の基盤とする。


  2. 信頼関係の構築: 譲渡側の経営者、従業員、取引先、地域との良好な関係を築き、円滑な事業運営とM&Aへの協力を得る。


  3. 業務統合: 事業の円滑な引継ぎを行い、安定的な事業運営と改善点への対応を実施する。





1. 経営統合

 
  • ゴール:

    M&Aを通して達成したいことを経営の方向性として言語化し、説明できる状態にする。

    経営の方向性を伝えることで、社内外の関係者に対して安心感を与え、信頼関係を構築する。


  • 具体的な取り組み:

    経営統合
・買収側がM&A後の経営方針を検討する。
・譲渡側の経営者や従業員へのヒアリングを通して、これまでの経営方針や新たな経・営方針との差異を把握する。
・差異が大きい場合は、譲渡側経営者と協議し、柔軟に対応する。
・譲渡側の関係者(経営者、従業員、取引先等)に対して、買収側が考える経営の方向性を丁寧に説明する。
・これまでと変わらない点を明示することで、従業員の不安を緩和する。
・変更する点がある場合は、これまでの経営方針を可能な限り取り入れるなど、配慮を行う。
・M&A成立後、必要に応じて当初考えていた経営の方向性を見直す。

  • 失敗例:

    ・買収側が提示した経営の方向性が、譲渡側のこれまでを否定するような内容となり、譲渡側の経営者と従業員からの信頼を失ってしまう。

    ・経営の方向性を何も示さないことで、逆に不安を与えてしまう。


  • ポイント:

    ・譲渡側のこれまでの努力や感情を損なわないコミュニケーションを心がける。

    適度な配慮を持って対応することが重要。





2. 信頼関係の構築

 
  • 対象:

    譲渡側の経営者従業員取引先地域



  • ゴール:

    M&Aによって生じる譲渡側従業員の不安や不信感を払拭する。

    M&Aについて譲渡側従業員の納得感や共感を得て、協力を得る。

    事業継続に重要な取引について、取引先の信頼を得て取引を継続する。

    継続する取引について、取引条件等を正確に把握する。



  • 具体的な取り組み:


  • 譲渡側経営者:

    信頼関係の構築
・引き継ぎや経営基盤確立のために、協力関係を構築する。
・譲渡側経営者が残る場合は、後々の争いを避けるため、役割や在籍期間等を明確化する。
・定期的なコミュニケーションを継続し、信頼関係を深め、合意した役割が守られているかを確認する。

  • 譲渡側従業員:

    譲渡側従業員:
・全従業員に対して、遅滞なく正しく平等にM&Aに関する情報を伝える説明会を開催する。
・説明会後、譲渡側従業員と1対1で個別面談を実施し、理解の補完と不安等の解消に努める。
・キーパーソンとは、できるだけ早い段階でコミュニケーションを取り、継続的に協力を得られるようにする。
・即効性のある就労環境改善策(クイックヒット)を実施し、M&Aによる具体的なメリットを実感してもらう。
・日常的な挨拶や声掛けを積極的に行い、現場に頻繁に足を運び、直接コミュニケーションをとる機会を作る。

  • 取引先:

    取引先:
・M&A成立直後、譲渡側の主要な取引先に、これまでの譲渡側経営者とともに直接訪問し、関係性の引継ぎを受ける。
・直接訪問できない先には、挨拶文を速やかに送付するなど、M&A成立の事実と取引継続の意志を丁寧に伝える。
・継続する取引に関する取引条件などを早めに把握する。
・不利な取引条件を発見した場合は、取引先との関係を十分に把握した上で、改善交渉を慎重に対応する。

  • 取引先以外の外部関係者:

    取引先以外の外部関係者:
・協力業者、金融機関、組合、業界団体など、事業継続に重要な外部関係者を漏れなく把握する。
・それぞれの関係者との適切な距離感を理解し、良好な関係を築く。
・必要に応じて支援機関と相談する。


  • 失敗例:

    ・譲渡側経営者との関係が悪化し、十分な協力が得られない。

    ・従業員とのコミュニケーション不足により、不信感が増幅し、退職者が増加する

    ・取引先への適切なコミュニケーション不足により、取引の縮小や停止が発生する。



  • ポイント:

    ・これまで経営されてきた譲渡側経営者に敬意を払い、信頼関係を深める

    ・従業員の不安や不信感を払拭するために、丁寧かつ迅速なコミュニケーションを心がける。

    ・取引先との関係を継続し、円滑な事業運営を確保するために、早期の訪問と情報共有が重要

    ・地域における事業運営を円滑に進めるために、外部関係者との良好な関係構築を重視する。





3. 業務統合

  • ゴール:

    ・引き継いだ事業を安定的に運営する。

    ・改善すべき点を改善する。



  • 具体的な取り組み:

    業務統合
・M&A成立後、譲渡側の事業の現状をより深く把握する。
・デューデリジェンスで見落とされた点、属人的な内容、資料がない/実態とずれている可能性がある点に留意する。
・改善すべき点が発見された場合は、優先順位の高いものから順次改善に取り組む。
・法的リスク、事業停止リスクが高いものについては、譲渡側経営者や支援機関の協力を得て速やかに対応する


  • ポイント:

    ・限られた期間で実施されたデューデリジェンスでは、全ての情報が把握できないことを認識する

    ・譲渡側経営者や担当者から、属人的な内容や資料化されていない情報などを丁寧に聞き取る

    ・リスクの高いものから優先的に対応し、事業の安定運営を図る。





まとめ(中小PMIガイドライン⑤)

 

本動画では、PMI基礎編として、M&A成立後100日から約1年間の重要な取り組みについて解説しています。


M&A後の統合プロセスを成功させるために、経営統合、信頼関係の構築、業務統合という3つの重要な取り組みについて解説しています。


これらの取り組みを着実に行うことで、M&Aの目的を実現し、統合効果を高めることができます。




次回

 




※関連書籍

 
『日本型PMIの方法論――中堅・中小企業を成長させるポストM&Aのプロセス』(竹林 信幸/プレジデント社)


本書は、中堅・中小企業向けのPMIに焦点を当てた実践的な指南書。


著者の豊富な経験に基づき、日本の企業文化に適したPMIの方法論を展開している。


特筆すべきは、PMIを単なる統合作業ではなく、買収後の成長プロセスとして捉える視点。


人的要素の重要性を強調し、企業文化の違いを問題視せず、むしろ活かす方法を提案している。


M&Aを検討する中堅・中小企業の経営者や実務担当者にとって、貴重な指針となる一冊といえるだろう。



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