パーパス経営とは何か? その基本概念と重要性
更新日:10月14日
今回のテーマは「パーパス経営とは何か?その基本概念と重要性」です。
中小企業の経営者の皆様に向けて、パーパス経営の基本的な考え方とその重要性について、わかりやすくお伝えします。
〈目次〉
パーパス経営とは?
パーパス経営とは、企業の存在意義や使命を明確にし、それを経営の中心に据える経営手法のことです。
パーパス(Purpose)とは「目的」や「意義」を意味します。
企業が存在する理由や、社会に対してどのような価値を提供するのかを明確にすることが、パーパス経営の出発点です。
これにより、企業の方向性が明確になり、社員や顧客、さらには社会全体との信頼関係を築くことができます。
「パーパス」と混同されやすい言葉として「ビジョン」「ミッション」「バリュー」があり、これはそれぞれ「ビジョン=企業が目指す未来像」「ミッション=企業が果たすべき使命」「バリュー=企業の価値観や行動指針」などと定義されます。
これらを「ビジョン=どこを目指すのか(Where)」「ミッション=何をするのか(What)」「バリュー=どのように実現するか(How)」と言い換えた場合、パーパスは「なぜ社会に存在するのか(Why)」に当たるでしょう。
特に「ミッション」と「パーパス」には近い部分もありますが、パーパスの方が「社会にどのような価値を提供するのか」という「対社会」の視点が強く出ている点も特徴といえます。
パーパス経営の基本概念
パーパス経営の基本概念は以下の3つに集約されます。
1.存在意義の明確化
企業がなぜ存在するのか、その存在意義を明確にすることが重要であり、企業のビジョンやミッションと密接に関連しています。
存在意義を明確にすることで、企業の方向性が定まり、社員全員が同じ目標に向かって進むことができます。
2.社会的価値の創造
パーパス経営では、企業が社会に対してどのような価値を提供するのかを重視します。
単なる利益追求ではなく、社会全体に対する貢献を念頭に置きます。
例えば、環境保護や地域社会の発展、顧客の生活の質の向上などが挙げられます。
3.ステークホルダーとの共創
パーパス経営では、社員、顧客、取引先、地域社会など、さまざまなステークホルダーとの共創が重要です。
ステークホルダーとの信頼関係を築き、共に価値を創造することで、企業の持続可能な成長が実現します。
パーパス経営の重要性
パーパス経営がなぜ重要なのか、その理由を以下に示します。
1.社員のエンゲージメント向上
パーパス経営は、社員のエンゲージメント(仕事への熱意やコミットメント)を高める効果があります。
社員が企業の存在意義に共感し、自分の仕事が社会に貢献していると感じることで、仕事に対するモチベーションが向上し、生産性の向上や離職率の低下が期待できます。
2.顧客との信頼関係の構築
パーパス経営は、顧客との信頼関係を築く上でも重要です。
顧客は、単なる商品やサービスの提供だけでなく、企業の価値観や社会的な取り組みに共感することで、長期的な関係を築くことができます。
その結果、顧客のロイヤルティが向上し、リピーターの増加が期待できます。
3.持続可能な成長の実現
パーパス経営は、企業の持続可能な成長を実現するための重要な要素です。
社会的な価値を創造し、ステークホルダーとの共創を進めることで、企業は長期的な視点で成長を続けることができます。
また、社会的な課題に取り組むことで、新たなビジネスチャンスを見つけることも可能です。
4.ブランド価値の向上
パーパス経営は、企業のブランド価値を向上させる効果もあります。
企業の存在意義や社会的な取り組みが評価されることで、ブランドの信頼性や認知度が高まります。
これにより、新規顧客の獲得や市場での競争力が向上します。
中小企業におけるパーパス経営の実践方法
中小企業がパーパス経営を実践するための具体的な方法をいくつか紹介します。
1.パーパスの明確化
まずは、自社の存在意義を明確にすることが重要です。
経営者自身が自社のパーパスを深く考え、社員やステークホルダーと共有することが大切です。
ワークショップやディスカッションを通じて、全員が納得できるパーパスを見つけましょう。
2.パーパスを経営戦略に組み込む
パーパスを経営戦略に組み込むことで、企業全体が一体となって目標に向かって進むことができます。
具体的な目標やアクションプランを設定し、定期的に進捗を確認することが重要です。
3.社員とのコミュニケーション
パーパスを社員に浸透させるためには、日常的なコミュニケーションが欠かせません。
定期的なミーティングや社内報、SNSなどを活用して、パーパスに関する情報を共有しましょう。
また、社員の意見やアイデアを積極的に取り入れることで、エンゲージメントを高めることができます。
4.社会的な取り組みの実践
パーパス経営を実践するためには、具体的な社会的な取り組みが必要です。
地域社会への貢献活動や環境保護の取り組みなど、自社のパーパスに合った活動を行いましょう。
これにより、ステークホルダーとの信頼関係が深まり、企業のブランド価値が向上します。
※SDGs経営とパーパス経営の関係性
SDGs経営とパーパス経営は、どちらも企業が社会的責任を果たし、持続可能な成長を目指すための経営アプローチですが、それぞれの焦点やアプローチには違いがあります。
・SDGs経営とは
SDGs経営は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を企業の経営戦略に組み込むことを指します。
SDGsは17の目標と169のターゲットから構成され、貧困の撲滅、気候変動対策、ジェンダー平等など、幅広い社会的・環境的課題に取り組むことを目的としています。
・両者の関係性
目的の共有:
どちらも企業が社会的価値を創造し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的としています。
SDGs経営は具体的な目標と指標を提供し、パーパス経営はその目標を達成するための企業の存在意義を明確にします。
戦略の統合:
SDGs経営は、企業が持続可能な開発目標を達成するための具体的なアクションを求めます。
一方、パーパス経営は、そのアクションが企業の使命と一致していることを保証します。これにより、企業の戦略が一貫性を持ち、より効果的に実行されます。
ステークホルダーとの対話:
両者とも、ステークホルダーとの対話を重視します。
SDGs経営は、持続可能な開発目標に対する取り組みを透明性を持って報告することを求め、パーパス経営は、企業の使命に基づいたコミュニケーションを強化します。
まとめ
パーパス経営は、企業の存在意義を明確にし、社会的な価値を創造することで、持続可能な成長を目指す経営手法です。
中小企業にとっても、パーパス経営を実践することで、社員のエンゲージメント向上や顧客との信頼関係の構築、ブランド価値の向上など、多くのメリットが期待できます。
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「パーパス経営」は、30年先の未来を見据えた新しい経営思想を提唱している。
著者の名和高司氏は、従来の資本主義に代わる「志本主義」を提案し、企業の存在意義である「パーパス」を経営の中心に据えることの重要性を説いている。
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著者は、国内外100社以上の企業変革に携わった経験を基に、志を追求し成長を続けるための具体的なマネジメント方法を解説している。
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