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人手不足倒産:中小企業経営者が知っておくべき実態と対策

更新日:10月14日

(帝国データバンク)



今回は、多くの中小企業経営者の皆様が直面している「人手不足」の問題、特に深刻化すると「人手不足倒産」につながるリスクについてお話しします。



 

〈目次〉

 


人手不足倒産:中小企業経営者が知っておくべき実態と対策



人手不足倒産とは

 

人手不足倒産とは、必要な労働力を確保できないことが原因で、事業の継続が困難になり、最終的に倒産に至るケースを指します。


近年、この問題は中小企業を中心に深刻化しており、看過できない経営リスクとなっています。





なぜ今、人手不足倒産が問題になっているのか

 

1. 少子高齢化による労働人口の減少

日本の総人口が減少する中、働き手の数も年々減少しています。

特に地方では、若者の都市部への流出も相まって、深刻な人手不足に陥っています。



2. 景気回復に伴う求人増加

景気の回復により、多くの企業が採用を増やしています。

結果として、求職者にとっては選択肢が増え、中小企業にとっては人材確保が難しくなっています。



3. 若者の大企業志向

安定性や知名度を重視する若者が多く、中小企業が敬遠される傾向にあります。



4. 働き方改革による労働時間の制限

長時間労働の是正は重要ですが、一方で人員の確保がより必要になっています。





人手不足倒産のリスクが高い業種

 

人手不足は、特に以下の業種で顕著です。


- 建設業

- 運輸・物流業

- 介護・福祉業

- 飲食業

- 小売業


これらの業種は、労働集約的な性質や、厳しい労働条件などが要因となっています。





人手不足倒産を防ぐための具体的な対策

 

では、どのように人手不足倒産のリスクを回避すればよいのでしょうか。


以下に、具体的な対策をご紹介します。





1. 採用戦略の見直し

 

多様な人材の活用

- シニア層の採用:

  豊富な経験を持つ60代、70代の方々を積極的に採用する


- 主婦層の活用:

  短時間勤務や柔軟なシフトを提供し、子育て中の方々を採用する


- 外国人材の採用:

  特定技能制度などを利用し、外国人労働者を受け入れる



採用チャネルの拡大

- SNSの活用:

  FacebookやInstagramなどを使い、会社の魅力を発信する


- 従業員紹介制度:

  既存社員からの紹介に報奨金を出すなど、制度を充実させる


製造業などでも、Instagram等SNSを活用しているケースが見受けられます。
ただし、会社の魅力を発信することに注力するあまり、言いにくいことに蓋をするようでは、入社後ギャップを発生させてしまいます。
下記の「求職者への透明性確保」についても、誠実に発信していくことが重要です。


入社後ギャップの防止

  - 求職者への透明性確保:

  求職者に対して自社の良い点だけでなく、仕事の大変さも伝えることで、入社後のミスマッチを防ぎます。


  - インターンシップ:

  入社前に職場見学やインターンシップを実施し、実際の職場環境を体験させます





2. 労働環境の改善

 

働きやすい職場づくり

- 有給休暇取得の促進:

  計画的な有給取得を推奨する


- 福利厚生の充実:

  社員旅行や健康診断の充実など、従業員の満足度を高める



キャリアパスの明確化

- 昇進・昇給基準の明確化:

  頑張れば報われる仕組みを作り、見える化する


- 社内公募制度:

  新規プロジェクトなどの責任者を社内から募集する





3. 業務効率化・省力化

 


ITツールやAIの導入

- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用:

  定型業務を自動化する


- AIチャットボットの導入:

  顧客対応の一部を自動化する


中小企業省力化投資補助金」等を活用し、自社の業務の一部をロボット等に置き換えることも検討する価値はあります。

ただし、単純に汎用製品を導入しても効果はなく、自社の業務プロセスやレイアウトを、むしろロボットにあわせて作り変える必要があり、導入するためのコストは決して低くありません。



業務プロセスの見直し

- 無駄な会議や報告書の削減:

  本当に必要な業務に集中できる環境を作る


- マニュアル化の推進:

  ベテラン社員のノウハウを可視化し、共有する




4. 事業モデルの転換

 

労働集約型から知識集約型へのシフト

- 付加価値の高いサービスの開発:

  単純作業から、専門知識を要するサービスへ移行する


- オンラインサービスの展開:

  実店舗だけでなく、ネット上でのサービス提供を検討する



新規事業への参入検討

- 既存事業とのシナジーを考慮:

  現在の強みを活かせる新規事業を検討する


- 成長産業への参入:

  AI、IoT関連など、将来性のある分野への進出を考える


これらは、言うは易しだが、実施には膨大なエネルギーを伴う施策です。
設備投資のための借入は資金繰りを悪化させるため、リスクを嫌う経営者は、二の足を踏むことでしょう。
最低賃金の引き上げは今後も続くと予想されるため、今以上に収益性を高める必要がありますが、まずは、現在の事業において価格転嫁を進めることが求められます。




5. M&Aや業務提携の検討

 

人材確保を目的とした企業買収

- 同業他社の買収:

  優秀な人材を一括で確保する


- 異業種企業との連携:

  新たなスキルセットを持つ人材を獲得する



業務提携によるリソース共有

- 同業他社とのアライアンス:

  繁忙期の人材融通など、Win-Winの関係を構築する





6. 人材育成の強化

 

社内教育制度の充実

- 定期的な研修の実施:

  技術向上や資格取得を支援する


- メンター制度の導入:

  ベテラン社員が若手を指導する仕組みを作る



多能工化の推進

- ジョブローテーションの実施:

  様々な業務を経験させ、柔軟な人材を育成する


- クロストレーニングの実施:

  部署を超えたスキル習得を促進する





まとめ:人手不足を乗り越えるために

 

人手不足は確かに深刻な問題ですが、むしろ、この機会を利用して自社の経営を見直し、より強靭な企業体質を作り上げるチャンスと前向きに捉えることができるかどうかが重要になります。


重要なのは、自社の状況を客観的に分析し、できることから着手していくことです。


すべての対策を一度に実行する必要はありません。まずは自社に合った施策を1つか2つ選び、実行してみましょう。


また、これらの対策を実行する際は、従業員の声に耳を傾けることも大切です。


現場の意見を取り入れることで、より効果的な施策を打ち出すことができます。



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