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執筆者の写真ふかや経営サポート

中小PMIガイドライン④:基礎編(概要編)

更新日:10月23日



本動画は、M&AにおけるPMI(Post Merger Integration:買収後統合)の基礎について、譲り受け側の経営者を対象に解説しています。


特にM&A成立後100日から1年程度の期間における、基礎固めの時期の取り組み概要を知ることができます。この内容は、小規模案件や株式譲渡案件を含む全てのM&Aに適用できます。


中小PMIガイドライン③:基礎編(概要編)

※画像はイメージです。


 

〈目次〉

 

※実際の動画の内容

[出典]動画④:中小PMIガイドライン講座 基礎編(概要編)(metichannel/経済産業省)


※以下、『中小PMIガイドライン~中小M&Aを成功に導くために~』も参考にしながら、動画を解説していきます。





はじめに:PMIとは

 

PMIの基本的な定義については、こちらの記事をご確認ください。





PMIの重要性

 
  • PMIを軽視すると、譲り渡し側の従業員との信頼関係構築に失敗し、最悪の場合退職に繋がる可能性がある。

  • 一方で、過度な配慮は距離感の縮小を阻害し、自然な信頼関係構築を困難にする。

  • 特にM&A成立後100日以内は、意識的に信頼関係構築に取り組むことが重要


※PMIは、M&A成立後、譲り受け企業と譲渡企業が一体となり、M&Aの目的を実現するための基礎固めの期間に行われる統合作業です。
この期間は、一般的にM&A成立後100日から1年程度とされています。 

PMIをおろそかにすると、以下のようなリスクが生じます。
・従業員との信頼関係が構築できない:最悪の場合、従業員が退職してしまう可能性があります。
・過度な気遣い:譲渡企業との距離感が縮まらず、自然な信頼関係の構築が難しくなる可能性があります。

一方、PMIを適切に行うことで、以下のようなメリットが期待できます。
・譲渡企業の強みを活かせる:譲り受け企業の経営者と、譲渡企業の従業員や取引先などの関係者との信頼関係が構築されることで、譲渡企業の強みを最大限に引き出すことができます。
・事業の円滑な引き継ぎ:業務を円滑に引き継ぐことで、M&Aによって生じる変化に迅速に対応することが可能となります。
・経営の方向性の確立:M&A成立後、早期に目指すべき方向性を譲渡企業に示すことで、会社の中核を再構築することができます。

ちなみに、PMIは、小規模な案件や株式譲渡の案件においても非常に重要です。

困難な局面に直面することもあるかもしれませんが、支援機関の力を借りながら、譲渡企業の強みを活かせるように進めることが重要です。




基礎編の3つのポイント

 

1. 経営統合:経営の方向性の確立

  • 譲り渡し側の経営者は、いわば会社の中核(コア)であり、退任はコアの喪失に繋がる。

  • M&A成立後早期に、譲り受け側は譲り渡し側に対し、今後の進むべき方向性を明確に示し、会社のコアを再構築する必要がある。


※M&A成立後早期に、譲り受け側は譲り渡し側に対し、今後の進むべき方向性を明確に示し、会社のコアを再構築する必要があります。
これは、従業員や取引先などが不安を感じることなく、新たな体制下でスムーズに業務を進めていくために非常に重要です。

目指すべき方向性を明確に示すことで、譲渡企業の従業員は、今後の会社における自分の役割やキャリアパスをイメージすることができます。
また、取引先は、今後の取引関係について安心感を得ることができ、引き続き取引を継続してくれる可能性が高まります。

逆に、方向性の提示がないまま統合が進むと、従業員のモチベーション低下や、顧客からの信頼を失うなどのリスクが生じる可能性があります。

言い換えれば、経営の方向性の早期確立は、M&A後の統合を成功させるための重要な鍵と言えます。

2. 信頼関係の構築

  • 譲り受け側の経営陣が、譲り渡し側の従業員や取引先など関係者との信頼関係を築くことは、譲り渡し側の強みを引き継ぐ基盤となる。

  • 元経営者の退任により関係者が離れないよう、配慮が必要である。


※譲り受け側の経営陣が、譲り渡し側の従業員や取引先など関係者との信頼関係を築くことは、譲り渡し側の強みを引き継ぐ基盤となります。
譲渡企業の中核(コア)M&A成立後100日以内の時期に、譲り受け側は意識的に信頼関係を構築していく必要があります。

信頼関係の構築は、譲渡企業の強みを最大限に引き出すために不可欠です。

従業員は、新しい経営陣の元でも安心して働くことができ、これまで培ってきた知識や経験を活かして、引き続き会社に貢献したいという気持ちを持つことができます。
取引先も、譲渡企業との取引関係を継続することに不安を感じることなく、従来通りの取引を継続、あるいは新しい取引関係を構築していくことができます。

一方、信頼関係の構築を怠ると、従業員のモチベーション低下や退職、取引先の離反など、M&A後の統合を阻害する要因となる可能性があります。

3. 業務統合:円滑な事業承継

  • 引き継いだ事業を円滑に進めるため、業務の適切な引継ぎが不可欠。

  • 適切な引継ぎにより、M&Aによる変化への迅速な対応が可能となる。


※引き継いだ事業を円滑に進めるためには、業務の適切な引継ぎが不可欠です。
適切な引継ぎを行うことによって、M&Aによって生じる様々な変化に迅速に対応することが可能になります。
業務統合は、単に業務内容や手順を伝えるだけではなく、企業文化や価値観、暗黙知なども共有していくことが重要です。

・従業員への教育・研修: 譲り受け側の企業文化や業務プロセスを理解させ、スムーズな業務遂行を支援します。
・標準化・効率化: 業務プロセスを見直し、重複や非効率な部分を排除することで、業務の効率化を図ります。
・システム統合: 異なるシステムを使用している場合は、統合することで情報共有を促進し、業務の効率化を図ります。

これらの取り組みを通じて、円滑な事業承継を実現し、M&Aの成功に繋げることが重要です。




まとめ

 

上記3つのポイントは、株式譲渡の場合においても非常に重要なPMI手続きです。


困難な局面に直面した際は、譲り渡し側の強みを発揮できるよう支援機関のサポートを受けることが重要になります。





Q&A

 

【Q】:譲受側と譲渡側の信頼関係構築は、M&A成立後いつ頃までに意識的に行うべきとされていますか?

【A】:譲受側と譲渡側の信頼関係構築は、M&A成立後100日以内の時期を大切にして意識的に行うべきとされています。


【Q】:経営統合における重要なポイントの一つとして、譲渡側の何を確立する必要があると述べられていますか?

【A】:経営統合においては、譲渡側の経営の方向性を確立する必要があるとされます。


【Q】:譲渡側の中核コアを失う可能性があるのは、M&Aにおいて何が起こるためですか?

【A】:経営者が退任することにより、譲渡側は中核コアを失う可能性があります。


【Q】:譲受側の経営者が譲渡側の関係者との信頼関係を築くことは、なぜ重要とされていますか?

【A】:引き継いだ譲渡側の強みを発揮する基盤となるため重要とされています。


【Q】:業務統合において、円滑な業務の引き継ぎはなぜ必要とされていますか?

【A】:M&Aによって生じる変化に適時対応できるようにするため必要とされています。


【Q】:PMIを疎かにすると、どのような問題が起こる可能性があると述べられていますか?

【A】:譲渡側の従業員との信頼関係が構築できず、最悪退職されてしまう可能性があると述べられています。





次回

 




※関連書籍

 
『日本型PMIの方法論――中堅・中小企業を成長させるポストM&Aのプロセス』(竹林 信幸/プレジデント社)


本書は、中堅・中小企業向けのPMIに焦点を当てた実践的な指南書。


著者の豊富な経験に基づき、日本の企業文化に適したPMIの方法論を展開している。


特筆すべきは、PMIを単なる統合作業ではなく、買収後の成長プロセスとして捉える視点。


人的要素の重要性を強調し、企業文化の違いを問題視せず、むしろ活かす方法を提案している。


M&Aを検討する中堅・中小企業の経営者や実務担当者にとって、貴重な指針となる一冊といえるだろう。



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